「メシカ」20年の軌跡──創業者ヴァレリー・メシカが語る、ダイアモンドジュエリーの新境地 | Numero TOKYO
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「メシカ」20年の軌跡──創業者ヴァレリー・メシカが語る、ダイアモンドジュエリーの新境地PROMOTION

従来のハイジュエリーの概念を覆し、ダイヤモンドを“特別な日のもの”から“日常に寄り添う美”へと昇華させた、パリ発のジュエリーブランド「メシカ(MESSIKA)」。2025年、ブランド創業20周年を迎え、創業者でありクリエイティブ・ディレクターを務めるヴァレリー・メシカが来日した。ダイヤモンド商の父から受け継いだダイヤモンドへの愛、ビヨンセが愛したダブルリング、そして次世代に託す想い。彼女の言葉を通して、その情熱の源泉に迫る。

ヴァレリー・メシカ
ヴァレリー・メシカ

モナリザを指差したビヨンセの指に輝く、革新的なリング

──創業20周年おめでとうございます。これまでを振り返って、特に印象に残っている出来事を教えてください。

「ありがとうございます。本当にたくさんの忘れられない出来事があります。たとえば、バーゼルでの初めての展示会や、パリ・サントノーレ通りにオープンした最初の店舗。そして11年前、ハイジュエリーのアトリエを立ち上げたことも大きな転機でした。

なかでも印象深いのは、ビヨンセが初めてメシカを着用してくれたこと。2014年、彼女がパリに約6ヶ月滞在していたとき、ある日ウィンドウ越しに私たちのダブルリングを見つけてくれたんです。

『彼女が試着したがっています。ウィンドウを開けてもらえますか?』とチームから連絡があったときは、正直、冗談かと思いました(笑)。でも本当に気に入ってくださり、最終的にはそのリングをプレゼントしました。すると後日、彼女がその指輪をつけた手でモナリザを指差す写真を投稿してくれたんです。パリの象徴であるルーヴル美術館で、当時まだ珍しかったダブルフィンガーリングを身につけて。あの瞬間は私のキャリアにおいても重要な転機となりました。それ以降もビヨンセは、さまざまな場面でメシカを身につけてくれています」

──素敵なエピソードですね!

「またリアーナが2023年のスーパーボウルで妊娠を発表したとき、赤い衣装にメシカのジュエリーを合わせてくれたことも、印象的な瞬間でした」

──メシカは音楽業界とのつながりも深い印象です。

「そうですね。私自身、音楽から常にインスピレーションを受けています。ポップ、クラシック、フレンチポップなど幅広く聴きます。AirPodsで音楽を聴く時間は、自分と向き合う大切なひとときです。感情を動かしたいときには感動的な楽曲を、力をつけたいときにはSiaの「Unstoppable」を聴きます。音楽は私にエネルギーと創造性を与えてくれるのです」

 

ケイト・モスとの挑戦。ハイジュエリーをランウェイへ

──ヴァレリーさんは幼少期から宝石に囲まれて育ったそうですね。

「はい。ダイヤモンド商だった父がよく宝石を家に持ち帰っていて、私はそれらを肌に当てて遊んでいました。ダイヤモンドの魔法のようなきらめきが身近な存在だったんです。

今、デザイナーとして活動するなかで、当時の記憶が自然とデザインに息づいています。たとえば、ダイヤモンドをタトゥーのように配置するスタイルもその一つ。また、“アクセシビリティ(身近さ)”も私にとって大切なコンセプトです。これまでダイヤモンドは、婚約や贈り物といった“特別なシーン”に限られがちでした。でも私は、女性も男性も、毎日のスタイルに自然に取り入れられるようなジュエリーを届けたいと考えています」

──ランウェイショーを開催するなど、ハイジュエリーにモダンなアプローチをもたらしていますね。

「2021年、ケイト・モスとのコラボレーションを機に、初となるランウェイショー形式のジュエリーショーを開催しました。従来のハイジュエリーイベントは、セキュリティガードが囲むガラス越しに眺めるだけという距離のあるものでしたが、私は『ジュエリーは身に着けてこそ女性を美しく、自信に満ちた存在にできる』と信じています。

この新たな試みは大きな成功を収め、以降、毎年開催するようになりました。若い世代の支持も集めており、これはマーケティングによるものではなく、とても自然でオーガニックな流れによるもの。私がもっとも誇りに思う成果の一つです」

──これまで手掛けてきたジュエリーの中で、特に印象に残っているものはありますか?

「私の2人の娘、ノアとロマンをモチーフにしたバングルです。今日はノアのバングルをつけています。彼女たちは私にとってインスピレーションの源であり、創造性を刺激してくれる存在なんです」

──日本のファッションや美学についてどう思われますか?

「日本の美意識から刺激を受けています。繊細でいて力強く、ディテールに宿るこだわりが素晴らしい。たとえば、包装や仕立て、日常の所作にも美しさが感じられます。以前、富士山を訪れた際、旅館で着物を着たのですが、その体験もまた、日本文化への理解を深めてくれるものでした」

 

次世代への期待とメシカの未来

──これからジュエリーデザイナーを目指す若い人たちへ、どんなアドバイスをしますか?

「アドバイスは二つあります。一つは、『自分を信じること』。赤ちゃんが歩けるようになるまでに何度も転ぶように、夢を追う過程では失敗がつきもの。でも、そのたびに立ち上がって、前に進み続ける覚悟が必要です。

もう一つは、『良い仲間を見つけること』。ブランドは一人では成り立ちません。自分にないスキルを持った人と出会い、信頼できるチームを築くことがとても大切です。私自身、性格の正反対な夫と一緒に仕事をしていますが、とても良いチームワークを築いています」

──最後に、メシカでこれから達成したい夢やビジョンを教えてください。

「ブランドとして、これからも成長し続けていきたいと願っています。そして将来的には、娘たちが意志を持って引き継いでくれるかもしれません。まだ13歳と11歳なので、あくまで彼女たちがやりたいと思ったときに委ねたいと考えています。

私の父がダイヤモンドの原石を扱っていたところから、私がジュエリーデザイナーの道を選んだように、私は彼の情熱を自分なりの方法で受け継いできました。同じように、娘たちにも自由に道を選んでほしい。そんなふうに、次の世代にバトンを渡していけたら嬉しいですね」

メシカジャパン
TEL/03-5946-8299
URL/www.messika.com/jp_ja/

Photos:Kouki Hayashi Interview & Text:Mami Osugi Edit:Naomi Sakai

Profile

ヴァレリー・メシカ Valérie Messika フランス・パリ生まれ。ダイヤモンドのエキスパートである父の影響を受け、幼少期からジュエリーに興味を抱く。1998年にソルボンヌ大学を卒業後、フレッドやシャネルのジュエリーウォッチ部門でキャリアを積む。2005年にジュエリーブランド、メシカを設立し、創業者兼アーティスティック・ディレクターを務める。2013年にパリの一等地であるサントノーレ通りに初のフラッグシップストアをオープン。2021年からはパリファッションウィーク期間中に新作ハイジュエリーを発表するランウェイショーを開催。ヴァレリーが手掛けるダイヤモンドジュエリーは、ビヨンセやリアーナ、ケンダル・ジェンナー、カイリー・ジェンナーをはじめ、世界中のセレブリティから愛されている。

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